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「無条件の救い」

クリスマス礼拝 2022.12.25

マリヤの賛歌・祈り(ルカ1:46-55)

「無条件の救い」

ザカリヤの賛歌(ルカ1:67-79)とシメオンの賛歌(ルカ2:29-32)に並ぶ賛歌であり、またサムエルの母、ハンナの賛歌(1サムエル2:1-10)とも比較されます。今日は、それらの賛歌の比較はしませんが、お時間のあるときに読んでみられることをお勧めいたします。

さて、マリヤの賛歌は、次のような背景があり、唱えられました。

マリヤが処女であるにもかかわらず、聖霊によって、「神の子」を産むということを御使いから知らされ、そのことを受け入れ、「ほんとうに、私は主のはしためです。どうぞ、あなたのおことばどおりこの見になりますように。」(ルカ1:38)と告げます。そして、ザカリヤの家に行って、妊娠6か月のエリサベツに会い、そこで3か月滞在し、恐らく、エリサベツの出産に立ち会い、幼子ヨハネを見て、また自分の妊娠を確信してから、実家に戻ります。

このマリヤの賛歌は、親戚のお姉さんであるエリサベツとの3か月の交わりの中で、熟成されたものではないでしょうか。もちろん、それも聖霊の働きによるものであることは疑いの余地はありません。なぜなら、15・6歳の少女が自力で、このような完成度の高い賛歌をつづれるとは思えないからです。ある研究によると、この賛歌のほとんどが旧約聖書の様々な箇所からの引用だということですから、もしもそうであれば、若いマリヤは旧約聖書に精通していたことになります。わたしはやはり聖霊の働きによるものであると考えます。

マリヤの賛歌は、4つのことから構成されているようです。①主からの祝福に対する感謝、②偉大なる神をほめたたえる賛美、③低い者を高く上げる救済の預言、④このことがアブラハム契約の成就であるとの確信。神に対する畏れと感謝、絶対なる正しき神への服従とローマ支配のみならず支配権力からの解放を確信。それをすべて、これから生まれ来る神の御子イエスに期待し、アブラハム契約の完了を賛歌と祈りのかたちを通して、宣言されたのです。

この福音書の著者ルカは、イエス・キリストがアブラハム契約の成就のために生れたことを主題としていると思われます。19章9,10節で、取税人ザアカイに対してのイエス様の言葉に、そのことが集約されています。●「きょう、救いがこの家に来ました。この人もアブラハムの子なのですから。人の子は、失われた人を捜して、救うために来たのです。」

アブラハム契約とは、「遊牧民であったアブラハムが、彼の子孫にカナンの地を与えるという神の約束を受けた」というものです。(創世記15:18-21)また、その前の、創世記12章1-3節にも記されています。アブラハムが、まだアブラムという名前であったとき、故郷のウルでこの掲示を受け、カナンの地を目指して旅立つきっかけになった言葉でした。また、アブラハム契約には、15章5節の「子孫の繁栄」も含まれています。そして、アブラハム契約は、無条件の契約であり、神がその契約のことを忘れずにいることのための儀式が、アブラハムの見た幻の中で示され(15章)、契約の成就は、神だけに頼ることによることが明らかにされます。

そして、マリヤは、マリヤ賛歌の最後のこのアブラハム契約に触れ、これから生まれ出るわが子が、そのアブラハム契約を成就させることを、聖霊によって確信を得たのです。

事実、イエス・キリストは、無条件で罪の汚れから、私たちを救い、私たちに永遠のいのちを得させる準備をされました。あとは、私たちがイエス・キリストを信じるということだけが残されているのです。そのことを聖書には次のように記されています。

●「なぜなら、もしあなたの口でイエスを主と告白し、あなたの心で神はイエスを死者の中からよみがえらせたと信じるなら、あなたは救われるからです。」(ローマ人への手紙10章9節)

●「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます。」(使徒の働き16章31節)

●「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。神が御子を世に遣わされたのは、世をさばくためではなく、御子によって世が救われるためである。」(ヨハネの福音書3章16-17節)

ただただ信じれば救われる。無条件の愛を、神様はイエス様を通して示されました。今日はクリスマス、イエス様のご降誕、この世に来てくださったことを記念する日です。どうか、イエス様を皆さんの心にお迎えしてください。無条件の救いをご自分のものとしてください。皆さんは、なにも損をすることはありません。何かをしなければ救われないというのは間違いです。神はすでに皆さんに無条件の愛をお示しくださっているのです。

さて、ここで、いつもの通り八さんと熊さんにご登場願いましょう。

八さん、熊さん、よろしくお願いいたします。

―――――

八: マリヤはんのあの祈りは、エリサベツはんのところにいはって、黙想に黙想を重ねて、

聖霊様に導かれてできあがった祈りやったんやな。

熊: わて、また即興で作りはったんやと思てたわ。15,6歳の女子はんが、

即興で作りはったにしては、完成度高いなぁとおもててん。

八: 熊、お前に完成度がたかいなんて分かんのかいな。

熊: わかるかいな、そんなこと。横丁のご隠居に受け売り。

八: やっぱりな。若さんもゆうてはったけど、サムエルはんのおかあはんであるハンナも

同じような祈りしてはるらしいな。それに、ある牧師先生が言うてはったけど、

このマリヤ賛歌には、旧約聖書のいろんなところがギューッと詰まってるんやて。

熊: マリヤはんも小さいころから、礼拝で旧約聖書をしっかり聞いてはったちゅうこと

なんやろなぁ。

八: そして、祈りの一番最後をこうしめくくってはる。

●「主はそのあわれみをいつまでも忘れないで、そのしもべイスラエルをお助けに

なりました。私たちの父祖たち、アブラハムとその子孫に語られたとおりです。」

(54-55) 神様とアブラハムはんとの契約は、生きていることが強調されてんねん。

熊: つまり、アブラハムはんの子孫は星の数ほど増えるちゅうこと、

それとアブラハムはんが見渡した土地、つまりカナンの地はイスラエルの所有の

土地となるちゅうことやわな。

八: そや、当時は、ローマ支配やったやろ、そのローマ支配から救い出されるちゅう

ことや。

熊: マリヤはんは、そのことが未来において完了するちゅうことを期待をもって

確信しはった。自分のこれから生まれてくる息子は、救い主キリストとなって、

神のアブラハムはんと結んだ契約が成就するちゅうことなんやろうな。

八: それもこれも、み使いがマリヤはんに語られた言葉がきいとる。

●「その子はすぐれた者となり、いと高き方の子と呼ばれます。

また、神である主は彼にその父ダビデの王位をお与えになります。」(32) 

熊: せやなぁ。マリヤはんは、そのことを確信に導かれたんやな。けんど、マリヤはんは、

この時はまだ、わからへんかったんやな。イエス・キリストは、イスラエルだけの

ためやない、全世界の人々を、罪ゆえの永遠の死から、救い出されることに

なることを。

八: 熊、そりゃ、無茶ちゅうもんや。マリヤはんの世界観はイスラエル止まりや。

それは仕方あれへん。イエス様が、その世界観をイスラエルから異邦人の住む

国々まで広げはったんやから。

熊: せやから、わてらも救われることになった。わてらも、イエス様のご降誕を

お祝いすることが、できるんや。

八: ルカはんが書いたこの福音書の最後の方に、イエス様の言葉が残されてある。

イエス様が死を克服してよみがえられて、使徒たちのところに現れた時のことや。

●「キリストは苦しみを受け、三日目に死人の中からよみがえり、その名によって、

罪の赦しを得させる悔い改めが、エルサレムから始まってあらゆる国の人々に

宣べ伝えられる。」(24:46-47) このイエス様の言葉によって、

弟子たちはまわりの国々にイエス様の愛を伝えに出かけるんや。

熊: 迫害されればされるほど、イエス様の福音は伝わった。きょうのように、イエス様の

ご降誕をお祝いするクリスマスを大切に思う心も感謝といっしょに

伝えられたんやろうなぁ。

八: イエス様がお生まれになって、そして33歳の時に、十字架におかかりくださって、

わてらの罪をぜんぶかぶりはって、わてらを罪の罪悪感から解放してくださった。

そやから、イエス様を信じたら、平安が訪れるんや。ほんまに感謝や。

若さん、メリー・クリスマス。イエス様、無条件の救い、感謝いたします。

―――――

八さん、熊さん、ありがとうございます。

神様は、私たちの救いのために、イエス様をお送りくださいました。しかし、だからといって、強制的にイエス様を信じさせるようなことはなさいません。信じる自由も信じない自由も与えられました。信仰を無理強いすることは、いわば律法主義と同じです。しかし、神様は私たち全員に信じてほしいと願っておられます。なぜなら、イエス様こそが、唯一の救いであり、希望であるからです。先に救われた私たちは、ただただ、皆さまが信じてくださることを祈るしかありません。また、そのためのお手伝いなら喜んでさせていただこうと思っています。イエス様の無条件の救いを受け取ってください。

今日の宣言は「救いを受け取ります」です。では、いつものように3回ご唱和し、宣言しましょう。「救いを受け取ります」「救いを受け取ります」「救いを受け取ります」アーメン。

お祈りいたします。

主の祈り

礼拝の感謝

祝祷

ぶどうの木キリスト教会小阪チャペル

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